群馬県嬬恋村、標高1,444mの元牧場で「Tsumagoi Work&Camp」をやっています。山の24時間ラウンジで、寝るのは自分の車かテントです。回しているのは私ひとりで、妻が手伝ってくれます。受付はありません。
場所のようすと予約は → tsumagoi.kensaur.us
一か所で見えなかったもの
受付がないと、だれかが見ていたはずのことを、ぜんぶ自分で確かめることになります。予約と入金。いまだれが来ているか。こたつはついたままか。水のタンクはあと何時間もつか。カメラは止まっていないか。前は、それぞれを別の画面やアプリで見ていました。
そこで、受付の仕事をなるべく自動にして、残りは一枚の画面で見ることにしました。画面は「牧場モニター」と呼んでいます。

受付の仕事を、自動に
- 予約と支払いはサイトで完結します。ラウンジのパスを買うと、Wi-Fiのコードが自動で出ます。
- 払い忘れの予約には、期限と支払いリンクつきのお知らせが自動で届きます。
- 質問には、サイトのチャットやLINE、入口のタブレットや音声で、AIが答えます。10月は492件でした。答えられないときは、私に回ってきます。
- 売店の値札や掲示物は、サイトと同じ料金データから印刷します。料金を変えても、紙と画面がずれません。
- 毎朝8時に、前の日のまとめが届きます。すぐ見てほしい知らせだけが、通知音つきで届きます。
お金は、ひとつの台帳に
サイトのカード決済(Stripe)、現地のレジ(Square)、PayPay、売店の現金箱。入口はばらばらですが、同じ台帳に入ります。返金も同じ台帳に記録されるので、どこで何が戻ったかがわかります。牧場モニターの「商い」タブには、今日の入金が入口ごとにレジのように並びます。

カメラと安全
- カメラは7台。人・車・動物を見分けるのは、現地のPCの中です。記録するのは種類と場所と時刻だけで、だれなのかは調べません。顔認証も、ナンバーの読み取りも使っていません。
- 10月30日から、クマの検知を増やしました。ラウンジと入口では、火災報知器や煙感知器の音、ガラスの割れる音にも反応します。
- 現地のPCに外から入る道は絞っています。録画のバックアップは暗号化して、別の場所に置いています。

センサー、電気、水
部屋ごとの温度と湿度、ラウンジのCO2、気象計の風と雨が出ます。あすの朝の霜と、今夜の星の見え方も出ます。センサーから何も届かないときは「受信なし」と書き、0とは書きません。
こたつと自販機には、電気を測るプラグをつけました。いまの消費電力とその日の電力量を、10月の単価で円にも直して出します。こたつがついたままなのに、ラウンジのカメラにだれも写っていない、と知らせてくれたこともあります。
上水道はなく、ポンプでくみ上げた水をタンクにためています。画面には水面までの距離をcmで出し、毎朝5〜6時台の補給と、このままだと何時ごろ警告ラインに届くかも出します。

しくみ


画面はPythonで書いたデスクトップアプリで、現地の小さなPC 2台で動いています。2分ごとに読み直し、前の24時間はスライダーでさかのぼれます。センサーや予約の数は東京リージョンのデータベースから読むだけで、書き込みはしません。画面が読むデータに、名前、連絡先、メッセージの本文は入っていません。録画(ラウンジと入口は音声も)は、長くても180日たつと自動で消えます。
何時間の手間が減ったかは、まだ測っていません。測れたら、ここに書き足します。
アップデート(10/30夜)
記事を出したその日の夜も、画面には手を入れていました。変えたのは六つです。
- 人の動きが早く出るようになりました。カメラが人を見つけると、数秒で見取り図の部屋にドット絵の人形が出ます。顔も名前もなく、見た目はでたらめです。
- 入口の中を見る深度カメラ(RealSense)を、飲み物の冷蔵庫の上に置き直しました。前の向きでは前を通る人まで数えていたので、数え方も作り直しています。
- 「商い・今日」をゲームの画面のようにしました。支払いは方法ごとのコインの山、棚卸の71品目は持ち物の一覧で、赤は要発注、黄は少なめ、緑は足りています。
- サービスごとに、仙人のドット絵アイコンを35個描きました。運用、インフラ、連携のどこでも、緑の輪なら動いていて、赤なら止まっています。文字を読まなくても目に入ります。
- どのタブも一画面に収まり、窓の大きさを変えると並べ直します。
- 「説明」ボタンを押すと、仙人が吹き出しで19か所を順に案内します。初めて見る人にも、画面がひとりで説明します。

最新(10/31):いまできること
受付のいない場所を、ひとりで回すための仕組みを、画面ごとに並べました。画像を押すと、原寸のJPEGが開きます。
牧場モニター:見取り図と説明モード
カメラ、部屋の温度、こたつの電力、給水タンクを一枚の見取り図に。カメラが人を見つけると、数秒でその部屋にドット絵の人形が出ます。「説明」を押すと、仙人が19か所を順に案内します。

牧場モニター:商い・今日
支払いは方法ごとのコインの山、棚卸の71品目は持ち物の一覧。赤は要発注、黄は少なめ、緑は足りています。

牧場モニター:35のサービスのアイコン
カメラ、ネットワーク、セキュリティ、入口の機器、CIまで、見張っているサービスごとに仙人のドット絵アイコンを描きました。緑の輪なら動いていて、赤なら止まっています。

お金の流れ
ウェブ(Stripe)、店頭(Square)、PayPay、現金箱の入金は、ひとつの台帳に集まり、会計ソフトの「一人社長」へ渡ります。

管理画面の「今日」
朝いちばんに開く画面です。今日の来訪、到着、滞在中の人数、全チャネルの売上が、自動で集まります。

お客さま向けのサイト
予約、決済、AIのコンシェルジュ、現地のいまの気温と夕日までの時間。ドット絵の牧場の上を、キャラクターが歩きます。

仙人けんじのドット絵
サイト、牧場モニター、入口のタブレットまで、同じドット絵の仙人と牧場で揃えています。

入口のキオスクと、歩けるラウンジ(近日公開)
入口のタブレット(キオスク)と、サイトの中を歩いて回れるラウンジは、新しい版を出したあとに画面を加えます。
取材の方へ
記事や番組でのご紹介に、このページの文章と画像をお使いください。わからないことは「確認中」と書いています。
ひとことで
嬬恋牧場Work&Campは、群馬県嬬恋村・標高1,444mの元牧場にある、山の24時間ラウンジです。寝るのは自分の車かテントで、建物にはこたつラウンジ、光回線のデスク、温水シャワー、キッチンがあります。運営はkensaurus合同会社の櫻元賢次(仙人けんじ)がひとりで行い、予約サイト、決済、AIの案内、現地のセンサーと見張りの画面までを自社でつくっています。2026年8月8日開業。
ファクトシート
- 名称
- 嬬恋牧場Work&Camp(Tsumagoi Work&Camp)
- 場所
- 群馬県吾妻郡嬬恋村、標高1,444m。東京から車で約3時間
- 開業
- 2026年8月8日。元牧場の建物を約1年かけて改装
- 運営
- kensaurus合同会社(代表 櫻元賢次)。運営はひとり
- 建物
- こたつラウンジ(テーブル20以上・最大50席)、100Mbpsの光回線、温水シャワー、共用キッチン。暖房はダイキンの業務用エアコン2台で、室内では灯油を燃やしません
- 寝る場所
- 自分の車(車中泊)か、区画のないフィールドに張るテント。建物の中では寝られません
- 料金
- 公式サイトに載せています
- 自社でつくった仕組み
- 予約サイトと決済、AIのコンシェルジュ(ウェブ・LINE・入口のタブレット)、牧場モニター、管理画面、入口のキオスク
- カメラ
- 人・車・動物の数を数えるだけで、顔とナンバーの認識はしていません
画像(ダウンロード)
- 牧場モニター:見取り図と説明モード(JPEG・1920×1027)
- 牧場モニター:商い・今日(JPEG・1385×985)
- 牧場モニター:サービスのアイコン(JPEG・1920×1022)
- 牧場モニター:お金の川(JPEG・1920×1015)
- 管理画面の「今日」(JPEG・1138×303)
- 公式サイトの最初の画面(JPEG・1440×372)
- 仙人けんじと牧場のドット絵(JPEG・1600×860)
クレジット:© Tsumagoi Work&Camp / kensaurus。報道・紹介の記事や番組で、クレジットを添えてお使いいただけます。トリミングは自由ですが、画面の中身の書きかえはご遠慮ください。画面はすべて取材用の表示で、人の映ったカメラ、金額、機器の名前は出していません。現地の写真は会社のプレスページにあります。
これまでの記事
- Zenn:お金・安全・電気・水を一枚で見る「牧場モニター」の設計
- note:仙人の管理室:ひとりで山の牧場を回すダッシュボード
- LinkedIn:There's no front desk at Tsumagoi Work&Camp.
- LinkedIn:A short update on the Ranch Monitor
お問い合わせ
取材のご依頼は kensaurus@gmail.com へ。現地のご見学は、牧場のLINE公式アカウント(@012pteqb)でもご相談いただけます。電話の窓口はありません。
同じことで困っている方へ
受付に人を置けない小さな宿やキャンプ場、コワーキングを回している方がいたら、気軽に話しかけてください。うまくいったこと、いかなかったことを、そのままお話しします。いまお使いの機器でどこまでできそうかも、わかる範囲でお答えします。
ひとりで回す日々の話はnoteに、英語の短い版はLinkedInに書きました。Instagram(@tsumagoicamp)でも日々のようすを出しています。